スタンダード&プアーズは17日付で、2007年上期(1-6月期)に発行された第一順位抵当付き米国サブプライムRMBS、第一順位抵当付きオルタナティブA(オルトA)RMBS、クローズド・エンド第二順位抵当付きRMBSの計1,713クラスを格下げした。格下げの対象は、136のサブプライム案件、128のオルトA案件、19のクローズド・エンド第二順位抵当付きRMBS案件である。格下げを受けたクラスの総額は、発行時の額面価額で約233.5億ドル、同期間にスタンダード&プアーズが格付けを付与した、これら3タイプの米RMBS(発行総額約3,719億ドル)の6.28%、また同期間に格付けを付与したすべての米RMBS(同約4,950億ドル)の4.71%に相当する。
また、スタンダード&プアーズは、同時期に発行された第一順位抵当付き米国サブプライムRMBSおよび第一順位抵当付きオルトA RMBS、計109案件、646クラスの格付けを格下げ方向で「クレジット・ウォッチ」に指定した。スタンダード&プアーズは数週間以内にクレジット・ウォッチを解除する予定だが、見直しの結果は本プレス・リリースで発表された格付けアクションと同様な内容になる見通しである。
一方、同時期に格付けを付与した上記3タイプの米RMBS(額面価額2,451億ドル相当)の格付けは据え置いた。
関連した格付け遷移表を含む全格付け変更案件リストは、英語情報サービス商品であるRatings Directおよび英文ウェブサイトに掲載されている。「U.S. Alt-A, Closed-End Second-Lien, And Subprime Classes From 2007 Vintage Affected By Oct. 17, 2007, Rating Actions」を参照願いたい。
今回の格付けアクションは、新規案件に対するスタンダード&プアーズの最新格付け想定を用いて対象案件を見直した結果を反映したものである。2007年に発行された案件は、同年7月に発表したサーベイランス手法が確実に適用できるほど十分な期間が経過していない。しかし、2006年発行の案件に見られるのと同様のリスクが2007年発行の案件にも現れている。
ABCP、SIV、CDOへの影響
スタンダード&プアーズが格付けを付与し、当該RMBS案件へのエクスポージャーを抱える世界中のアセットバック・コマーシャルペーパー(ABCP)コンデュイットの見直しも完了した。その結果、今回の格付けアクションによって、当該ABCPコンデュイットの格付けに悪影響が及ぶことはないことを確認した。
また、スタンダード&プアーズは、ストラクチャード・インベストメント・ビークル(SIV)およびストラクチャード・インベストメント・ビークル・ライト(SIV-lite)についても、これら米RMBSクラスへのエクスポージャーの有無を世界ベースで確認した。その結果、2社のSIV-liteが、これら米RMBSクラスの6トランシェに対するエクスポージャーを抱えていることが判明した。また、SIVについては、5社がこれら米RMBSクラスの20トランシェに対するエクスポージャーを抱えていることが確認された。しかし、今回の格付けアクションの対象となった米RMBSへのエクスポージャーがあること自体が、こうしたSIVやSIV-liteに悪影響を及ぼすことはないと思われる。
スタンダード&プアーズは現在、格付けアクションの対象となった米RMBSに対するエクスポージャーがある債務担保証券(CDO)案件の見直しも行っており、必要であれば、数日以内に格付けアクションが検討される予定である。
格付けアクションの根拠となった要因
2007年上期発行の第一順位抵当付きサブプライムRMBS案件および第一順位抵当付きオルトA RMBS案件に適用した想定:
上述のように、まず最初に、新規案件の格付けに用いる最新のデフォルト率、損失率、キャッシュフローの想定を適用して、すべての案件を見直した。次に、信用リスクの上昇に対応した今回の格付けアクションにより適合するようにその結果に定性的調整を加える一方、モデルで得られた結果の小さな差異は調整し、プール残高に対する信用補完率の上昇も反映させた。
次に、スタンダード&プアーズの想定デフォルト率に対する長期延滞ローン〈90日以上延滞、フォークロージャー、REOなど〉の比率に応じて、案件を4段階にランク付けした。上位25%と下位25%の案件については、さらにプラスもしくはマイナスの調整を加えた。2007年5月から6月に発行された案件については、発行からまだ日が浅いため、有意義な相対的ランク付けができるほどの延滞実績がないことから、延滞ベースの調整は行っていない。
スタンダード&プアーズの「トリプルA」および「ダブルA」の証券に対するストレス後予想デフォルト率と予想損失率は、現在の市場環境とは大きく異なっているため、これらの証券にはハイブリッドのストレスを加えた修正デフォルト・損失カーブを適用した。まず、最初の3年間については、「トリプルB」レベルのストレスをかけた(この分析においては、期間中の累積損失率はサブプライムRMBSが13.6%、オルトA RMBSが3.1%)。4年目以降は、残存期間を対象に、「トリプルA」レベルのストレスをデフォルト率と損失率に加えた(全期間中の累積損失率はサブプライムRMBSが31.6%、オルトA RMBSが8.8%)。この分析結果から、「トリプルA」と「ダブルA」のトランシェは利息支払いの資金不足も元本毀損もなく存続することが示され、他の要因も合わせて、従来の「トリプルA」と「ダブルA」の格付けを据え置くことにした。
2007年上期発行のクローズド・エンド第二順位抵当付きRMBS案件に適用した想定:
スタンダード&プアーズは、同期間に発行されたクローズド・エンド第二順位抵当付きRMBS案件についても見直しを行った。2007年上期発行のクローズド・エンド第二順位抵当付きRMBSの全案件について、よりストレスのかかった想定の下で再検討した。その結果、損失カバレッジ率の大幅な引き上げが必要であることが示され、第一順位抵当付きRMBSより厳しい「格下げ」につながった。この格下げは、最近発行されたクローズド・エンド第二順位抵当付きRMBSにおける想定以上の極端なパフォーマンスの悪化に見合った措置と言えよう。
経済的要因
住宅価格に対する下方圧力が根強いなか、サブプライム分野をはじめとする米住宅市場の悪化は今後も続くと予想される。不動産市場の低迷、住宅ローンの月次返済額の上昇、それが延滞率、デフォルト率、損失率に与える影響に関するスタンダード&プアーズの見解については、2007年10月15日発行の英文リポート「Ratings Lowered On 402 First-Lien Subprime U.S. RMBS Classes From 1Q-3Q Of 2005」を参照。
格下げしたクラス
サブプライムRMBSの格下げ
格下げの対象となった第一順位抵当付きサブプライムRMBS案件は136件である。格下げされた1,029クラスの発行時の額面価額は約174.3億ドルで、2007年上期に格付けを付与した第一順位抵当付きサブプライムRMBSの総額約1,500億ドルの11.63%に相当する。格下げは複数の格付けカテゴリーに分散しており、格下げ総額全体に占める割合は、表1の通りである。
表1:第一順位抵当付きサブプライムRMBSの格下げ
| 格付け | 格下げの割合(%) |
| AAA | 14.10 |
| AA+ | 3.10 |
| AA | 8.34 |
| AA- | 10.92 |
| A+ | 12.41 |
| A | 11.34 |
| A- | 8.39 |
| BBB+ | 10.12 |
| BBB | 7.31 |
| BBB- | 8.36 |
| BB+ | 4.03 |
| BB | 1.52 |
| BB- | 0.00 |
| B+ | 0.07 |
オルトA RMBSの格下げ
格下げの対象となった第一順位抵当付きオルトA RMBS案件は128件である。格下げされた524クラスの発行時の額面価額は約25.5億ドルで、2007年上期に格付けを付与した第一順位抵当付きオルトA RMBSの総額約2,046億ドルの1.25%に相当する。格下げは複数の格付けカテゴリーに分散しており、格下げ総額全体に占める割合は、表2の通りである。
表2:第一順位抵当付きオルトA RMBSの格下げ
| 格付け | 格下げの割合(%) |
| AAA | 2.09 |
| AA+ | 3.38 |
| AA | 11.22 |
| AA- | 5.51 |
| A+ | 7.37 |
| A | 13.08 |
| A- | 10.12 |
| BBB+ | 8.31 |
| BBB | 13.33 |
| BBB- | 9.29 |
| BB+ | 1.60 |
| BB | 8.55 |
| BB- | 1.05 |
| B+ | 0.00 |
| B | 5.09 |
クローズド・エンド第二順位抵当付きRMBSの格下げ
格下げの対象となったクローズド・エンド第二順位抵当付きRMBS案件は19件である。格下げされた160クラス の発行時の額面価額は約33.5億ドルで、2007年上期に格付けを付与したクローズド・エンド第二順位抵当付きRMBSの総額約173億ドルの19.37%に相当する。格下げは複数の格付けカテゴリーに分散しており、格下げ総額全体に占める割合は、表3以下の通りである。
表3:クローズド・エンド第二順位抵当付きRMBSの格下げ
| 格付け | 格下げの割合(%) |
| AAA | 50.50 |
| AA+ | 6.95 |
| AA | 8.54 |
| AA- | 3.93 |
| A+ | 3.60 |
| A | 5.30 |
| A- | 4.84 |
| BBB+ | 3.90 |
| BBB | 3.23 |
| BBB- | 3.72 |
| BB+ | 4.66 |
| BB | 0.84 |
*本プレス・リリースは、2007年10月17日付でニューヨークから発信された英文プレス・リリース「Review Of U.S.
RMBS From First-Half 2007 Yields Downgrades, Watch Placements, Affirmations」の翻訳です。英文リポートは英語情報サービス商品である「Ratings
Direct」および英文ウェブサイトに掲載しています。
|