スタンダード&プアーズは6日、京都において開催されたアジア開発銀行の第40回年次総会におけるセミナーにおいて、中小・中堅企業(SMEs: small to medium sized enterprises)の透明性を向上させ、中立的な財務情報を提供することは、中堅・中小企業に、より効率的な資金調達を可能とし、ひいては地域の経済成長を助長するという見解を披露した。 OECDのデータによると中堅・中小企業は、世界のGDPの50%、輸出の30%、対外直接投資の10%、民間雇用の60から70%、総企業数の95%を占めている。スタンダード&プアーズのアジア太平洋地域代表のトム・シラーは「中堅・中小企業セクターの活性化は経済発展がどの段階にあろうとも、地域経済にとって極めて重要である。しかし、中堅・中小企業は、その存在を脅かす独特の問題、たとえばビジネスを取り巻く環境、資本へのアクセス、支援を意図したものの反対に発展を妨げる結果をもたらすかもしれない政府の規制、企業自身の経営とガバナンスといった問題に直面している」と述べた。 地域の中堅・中小企業にとって安定的な資金調達は最大の課題である。中堅・中小企業に対する透明性、独立した財務情報の不在は、小規模企業の新しい資金調の可能性の障害になっている。その結果、従来からの銀行融資への過度の依存、資本市場へのアクセスの欠如、そして信用リスクに見合っていないプライシングといった問題の背景となっている。 地域の政府や当局は助成や保証といった形で中堅・中小企業を支援している。しかしこうした政策は実際には健全な中堅・中小企業セクターの育成に必要な競争や変革を妨げている。アジア太平洋地域の事業会社・公益事業格付け部門の本部長であるマイケル・ペティートは「政策的には、たとえばさまざまな種類の資産に対する担保の設定、著作権の保護、契約履行の強化、銀行融資促進のための透明性の向上の強化といったビジネス環境を改善する政策が望ましい」と語った。 スタンダード&プアーズ在日代表の張毓宗は「中堅・中小企業に対する信用モデルや格付けは地域の規模の小さい企業の資金調達に新たな活路を見出すという点で非常に重要な役割を果たしている」と述べた。「われわれが提供している日本の中堅・中小企業のデフォルト率を推定するSMEクレジット・モデルは日本で多くの銀行に利用されている。このモデルは銀行のリスク管理の効率化と中堅・中小企業向け業務を支援している」と述べた。一方中堅・中小企業中堅を対象としたSME格付けは、財務の企業の透明性を高め、人材採用、広告、社内の経営内容の把握、新規顧客や調達先の確保といった事業の拡大に利用されている。張は「SME格付けは顧客、仕入先、銀行、そして職員などさまざまなステークホルダーに対し信用力を語る際に非常に有効なツールとして利用されている」と続けた。 スタンダード&プアーズの子会社のインドで中堅・中小企業向けに格付けを提供しているCRISILの最高経営責任者(CEO)であるR.ラビモハンは「われわれはインドで1,000社弱の中堅・中小企業に格付けを付与しているが、格付け取得企業からの反応は非常に好意的なものだ。格付けは資金調達、ガバナンスの強化、顧客からの信認の向上、そして自社の向上するためのツールとして価値がある。より科学的な手法を用いて中堅・中小企業の信用リスク管理が可能になってはじめて、銀行をはじめとする金融機関からの資金調達は容易かつ安定的なものとなる。独立した第三者的な格付けはそうした点で役に立つだろう」と格付けの金融機関の貸出に際しての価値にも言及した。 *本プレス・リリースは2007年5月6日にアジア開発銀行の年次総会において発表された”S&P Urges Greater Financial Transparency of SMEs in Asia”を翻訳したものです。
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