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格付け定義・規準


個別債務格付け

スタンダード&プアーズの個別債務格付けは、ある特定の債務、特定の種類の債務、または特定の金融プログラムについての、債務者の信用力に関する現時点での意見を示すものである。ミディアム・ターム・ノート・プログラムに対する格付けとコマーシャル・ペーパー・プログラムに対する格付けは、個別債務格付けの一種である。個別債務格付けには、保証や保険、その他の信用補完策を提供しているものの信用力、およびその債務がどの通貨建てかという点も考慮されている。個別債務格付けは、証券の購入、売却、または保有を奨めるものではなく、また、時価や特定の投資家に対するその証券の適性について言及するものでもない。

個別債務格付けは、債務者から提供された、またはスタンダード&プアーズが信頼に足ると判断した他の情報源から入手した直近の情報に基づいている。スタンダード&プアーズは、いかなる格付けの決定に際しても、会計監査を行うことはなく、また、場合によっては監査を受けていない財務情報を利用することもある。情報の内容が変化したり、その入手ができなくなった場合、あるいはその他の状況により、個別債務格付けは変更、保留、あるいは取り下げになることがある。

個別債務格付けには長期と短期がある。短期格付けは、該当する市場で短期とみなされる債務に付与される。例えば米国では、コマーシャル・ペーパーをはじめ、当初償還期間が1年以内の債務が短期とみなされる。短期格付けは、長期債務に付されたプット・オプションに関する債務者の信用力を表すためにも使われる。その結果、プット・オプション付きの債券にはプット部分に対する短期格付けと、通常の長期格付けが二重に付与される。ミディアム・ターム・ノートには、長期格付けが付与される。

長期個別債務格付け

長期個別債務格付けは、比重は一律ではないものの、以下の要素を考慮している。

  1. 債務履行の可能性-債務の諸条件に従ってその金融債務を履行する債務者の能力と意思

  2. 債務の種類と条件

  3. 倒産法制やその他債権者の権利に影響しうる法律に基づく破産、会社更生などの手続きがあった場合の債権保護の内容と債券の相対的地位

個別債務格付けの以下の定義は、債務不履行のリスクの観点から表現されたものであり、発行体の優先債務を念頭においている。劣後性のある債務は破産時の返済順位が低いため、通常は優先債務より低く格付けされる(このような差は、発行体が優先債務と劣後債務の両方を有している場合、担保付債務と無担保債務の両方を有している場合、または事業会社と持ち株会社の両方の債務を有している場合に該当する)。従って、劣後性のある債務の場合、格付けがそのカテゴリーの定義と正確に一致するとは限らない。

個別債務格付けは、長期(「AAA」~「D」)、短期(「A-1」~「D」)の範囲で格付けされる。 

AAA 当該債務を履行する債務者の能力はきわめて高い。スタンダード&プアーズの最上位の個別債務格付け。
AA 当該債務を履行する債務者の能力は非常に高く、最上位の格付け(「AAA」)との差は小さい。
A 当該債務を履行する債務者の能力は高いが、上位2つの格付けに比べ、事業環境や経済状況の悪化からやや影響を受けやすい。
BBB 当該債務履行のための財務内容は適切であるが、事業環境や経済状況の悪化によって当該債務を履行する能力が低下する可能性がより高い。

「BB」、「B」、「CCC」、「CC」、「C」に格付けされた債務は投機的要素が強いとみなされる。この中で「BB」は投機的要素が最も低く、「C」は投機的要素が最も高いことを示す。これらの債務は、ある程度の質と債権者保護の要素を備えている場合もあるが、その効果は、不確実性の大きさや事業環境悪化に対する脆弱さに打ち消されてしまう可能性がある。

BB 他の「投機的」格付けに比べて債務が不履行になる可能性は低いが、事業環境、財務状況、または経済状況の悪化に対して大きな不確実性、脆弱性を有しており、状況によっては当該債務を履行する能力が不十分となる可能性がある。
B 債務者は現時点では当該債務を履行する能力を有しているが、当該債務の履行にかかる不確実性は「BB」に格付けされた債務よりも高い。事業環境、財務状況、または経済状況が悪化した場合には、当該債務を履行する能力や意思が損なわれ易い。
CCC 当該債務の履行について現時点で不確実性が高く、債務の履行は、良好な事業環境、財務状況、および経済状況に依存している。事業環境、財務状況、または経済状況が悪化した場合に、債務者が当該債務を履行する能力を失う可能性が高い。
CC 当該債務の履行について現時点で不確実性が非常に高い。 
C 当該債務の履行について現時点で不確実性が非常に高い場合や、契約条件に基づき支払いが繰り延べられている場合、発行体が倒産申請あるいはそれに類似した手続きを取っているにもかかわらず当該債務に支払いの不履行が発生していない場合に「C」が付与される。また、優先株式や劣後債務、そのほかの債務で、発行条件に基づき現金支払いが停止されているものにも「C」が付与されることがある。
D 当該債務は不払いとなっている。「D」は、当該債務の支払いが期日通り行われない場合に用いられる。支払猶予期間中であっても、支払猶予期間中に支払いが行なわれないとスタンダード&プアーズが判断した場合には、「D」が用いられる。また、倒産手続きの申請などが行われ、当該債務の支払いが危ぶまれる場合にも用いられる。

プラス記号(+)とマイナス記号(-)

「AA」から「CCC」までの格付けには、プラス記号またはマイナス記号が付されることがあり、それぞれ、各カテゴリーの中での相対的な強さを表わす。

N.R. 格付けの依頼がない、格付けを確定するには情報が不十分である、またはスタンダード&プアーズが方針として当該債務に格付けをしない場合を表す。

短期個別債務格付け

A-1 スタンダード&プアーズの最上位の短期個別債務格付け。当該債務を履行する債務者の能力は高い。最上位当該債務を履行する債務者の能力が極めて高いと見なされる場合には、プラス記号(+)が付される。
A-2 当該短期債務を履行する債務者の能力は十分であるが、より上位の格付けに比べると、事業環境や経済状況の悪化からやや影響を受けやすい。
A-3 当該短期債務履行のための財務内容は適切であるが、事業環境や経済状況の悪化によって当該債務を履行する能力が低下する可能性がより高い。
B 「B」に格付けされた短期債務は投機的要素が強いとみなされる。債務者は現時点では当該債務を返済する能力を有しているものの、大きな不確実性を抱えており、当該債務を履行する能力が不十分となる可能性がある。
C 当該短期債務の履行について現時点で不確実性が高く、債務の履行は、良好な事業環境、財務状況、および経済状況に依存している。
D 当該短期債務は不払いとなっている。「D」は、当該債務の支払いが期日通り行われない場合に用いられる。支払猶予期間中であっても、支払猶予期間中に支払いが行なわれないとスタンダード&プアーズが判断した場合には、「D」が用いられる。また、倒産手続きの申請などが行われ、当該債務の支払いが危ぶまれる場合にも用いられる。

符号「i」について

小文字の「i」の符号は個別債務に用いられ、その利払いが行われる蓋然性を決定づける信用上の要因または条件、あるいはその両方が、元本の支払いの蓋然性を決定づける信用上の要因または条件、あるいはその両方と異なる場合に付される。「i」の符号は、当該格付けが債務の利息部分のみに対応することを示す。「i」の符号は常に、元本支払いの蓋然性を示す「p」の符号と併せて用いられる。例えば「AAAp N.R.i」という格付けは、その債務の元本部分の格付けが「トリプルA」で、利息部分は「格付けなし(N.R.)」であることを示す。

符号「p」について

小文字の「p」の符号は個別債務に用いられ、その元本の支払いが行われる蓋然性を決定づける信用上の要因または条件、あるいはその両方が、利払いの蓋然性を決定づける信用上の要因または条件、あるいはその両方と異なる場合に付される。「p」の符号は、当該格付けが債務の元本部分のみに対応することを示す。「p」の符号は常に、利払いの蓋然性を示す「i」の符号と併せて用いられる。例えば「AAAp N.R.i」という格付けは、その債務の元本部分の格付けが「トリプルA」で、利息部分は「格付けなし(N.R.)」であることを示す。